アイコンタクトを行う (写真1)
人は目を見て意思を伝えますが、犬にとって目を見つめることは攻撃を意味します。良い関係をつくるために、子犬を安心させることが最も重要です。子犬にとっては、フード=安心・安全です。そのためフードを使って誘導します。目を見たら直ちにフードを与え、「目を見たら良いことがある」と、条件づけます。すると犬は、人はとてもやさしい存在であることを認識します。
早期母子分離の子犬は、怯えていて人の目をみることができません。怖いからです。最初は顔を上に向けることからはじめましょう。アナタのやさしさが成功の秘訣です。叱ってしまった場合も目を見つめることができません。
※この場合は、オスワリのレッスンからはじめるとよいでしょう。
※仔犬が目をそらすのは、カーミングシグナルで、「攻撃するつもりはありません。」と意志表示しています。
鼻をやさしく包み込む(写真2)(罰として使うマズルコントロールではありません)
母犬が口で子犬の口を大きく包み込む行動に似ています。兄弟犬同士がじゃれあって遊ぶときにも見られます。威圧的にならないよう十分注意しやさしく実施します。 決して罰として用いてはいけません。赤ちゃんをあやす時のように、心からやさしく行うことが大切です。心がともなわなければ逆効果です。子犬がよくないことをしたときに、罰として行うものではありません。この行動は、お母さんの口は大きいので、「こわい外敵から仔犬を守れます。」という意味が込められています。
ダッコする
基本レッスンを行う (オスワリ、フセ、マテ等)
犬と良い関係を築くためには簡単なトレーニングが必要です。トレーニングの過程で共通の楽しさを見つけましょう。
「オスワリ」
※「オスワリ」という声は一回だけ出してください。また、オスワリする前にオスワリと声で誘導しないよう気をつけましょう。また「はいオスワリ」というように「はい」を言わないようにしましょう。「オスワリ」できたときに「オスワリ」と声をかけてください100%できるようになってからフードを少しずつ止めていき、やがて「オスワリ」という言葉だけでできるようにしましょう。※ 犬の自発性に任せてください。フードで誘導し、犬が自発的にできたようにしむけます。犬がお尻を床につけたことは、OKです、それはオスワリという意味ですということを伝えます。フードは正解!!という意味です。
※ このようにトレーニングすることでアナタと犬は共通のことばを持つことができ、犬はどう行動すればよいか速やかに理解できるようになります。
逆転号令
犬が何かを要求しせがんだ時には、すぐに対応するのではなく犬にできる簡単なこと、つまり、オスワリやフセ等をさせてから犬の要求を叶えましょう。例えば、なでてほしい と犬が飼い主の手を押して要求した時、すぐに要求に応ずるのではなく、いったん犬にオスワリと号令し、オスワリができた後になでましょう。こうすることで「おねだり犬=要求犬」を予防できます。
飼い主が先に食事をする
犬の食事は飼い主さんの食事が済んでからにしましょう。食事を待たせることで我慢するチカラをつけることができます。また、食後は直ちに食器を片付けましょう。ただし子犬のときや病気のときは例外です。先に犬に食事を与えると、先に済ませた犬が吠えておねだりするようになってしまいます。
遊び方のルール (飼い主さんが主導権を持つ)
行動上問題がある犬は引っ張り合いを禁止しましょう。引っ張り合いをすることで、興奮しやすく、制御しにくくなります。また攻撃性がより増強されます。ボールを投げてもってこさせる遊びの時は、飼い主さんにごく自然に渡すようにしむけましょう。犬がボールを独占し飼い主さんにボールを渡さない場合は、無理に取り上げるのではなく、少量の食物(オモチャなど)と交換し、犬が喜んで渡すようにしむけます。お互いにボールを受け渡すことで、より親密な関係が築けます。遊びの終了時には、犬の見ている前で、犬の届かない所にボールを保管しましょう。こうすることで楽しい遊びは飼い主さんと一緒のときだけと、印象付けます。引っ張り合いの遊びは、消極的なタイプの犬を活動的にするためには、とても効果的です。 (写真5)
犬を仰向けにし、腹部をなでる
犬はリラックス状態で、心から信頼している場合、自ら仰向けに寝て遊びを誘うことがあります。腹部をやさしくなで、楽しい時間を持ちましょう。「かわいい、いいこ」と慈しんでください。(写真6)
ドアの出入りは飼い主を優先する
室内や自分の敷地から出る場合は、境界線上に犬と並んで立ちます。犬に「マテ」をさせ、犬側と逆の足から一歩前進し犬と一緒に外出します。これを繰り返すことにで、飼い主の敷地(境界)を理解させます。そしてテリトリーを認識させます。なお、一緒に歩く「ツケ」は、犬側の足から前進します。「マテ」の足の運びとは区別します。
一緒のベッドには寝ない
一緒に寝ることは、兄弟や夫婦等同列であることを意味します。より親密度が高まるのはいいことですが、飼い主さんの保護者としての役割は保てなくなります。また、犬の自立心が崩れ、一人ぼっちで過ごすことが不得手になります。その結果、分離不安をおこしやすくなります。
安心させる (心身ともに)
心について
子犬は敏感です。叱ってはいけません。叱られても、理由が理解できず叱られた恐怖だけが記憶されます。一人ぼっちの時間が長いと、孤独のために恐怖心が強くなります。また、どのように行動して良いか混乱します。困った行動に対して無視するだけでは好結果は得られません。
身体について
検診(検便・検尿など)が必要です。また食事や睡眠など暮らしについて病院でアドバイスを受けましょう。
オペラント条件付けによる基本レッスンを行う
アイコンタクト、オスワリ、フセ・・・オペラント条件付けによる基本レッスンを行い、ともに楽しい時間を過ごしましょう。
教える
トイレトレーニング・・・室内で暮らすためには、トイレトレーニングは必須事項です。クレートトレーニング・・・一定時間クレート内で過ごせるようにしましょう。
甘咬み
人の手足に甘咬みをしたり、動くものにじゃれたり追いかけたりするのは、ごく自然の行動です。子犬は本来であれば、母犬や兄弟犬とじゃれて一日中遊んでいます。少々は大目にみてください。甘咬みに反応して、大声をだしたり大げさに拒否すると、遊びに参加しているものと誤解され、さらなる甘咬みを誘発します。甘咬みは噛む加減を勉強する大切なものです。
困った行動を予測し防ぐ (叱らないための工夫)
子犬は、何でも口に入れます。危険なものや壊されては困るものを撤収し整理整頓しましょう。
トイレが完璧にできるようになるのは生後6ヶ月齢ぐらいです。当初、失敗することが多いので汚されてもよい床材にしましょう。子犬が一人ぼっちでいる時間はできるだけ少なくしましょう。留守中は予期せぬ行動があるので、ケージ内で休ませると安心です。
平常心で接する
犬が思い通りにならず、どうしてよいか分からなくなることもあります。イライラし混乱したとき、犬を責めてはいけません。現状を冷静に分析して、やさしい優れた保護者になりましょう。