ワンの成長カレンダー

成長には、それぞれ差があります。神経質にならず、子犬育てを楽しんください。

お母さん犬や兄弟とは生後 7,8 週齢まで一緒に暮らし、愛に満たされた豊かな赤ちゃん時代が必要です。暖かな周りの人びとに愛をふりまくステキな犬に育つ基礎ができます。はやくに家族と離れると、些細なことにドキドキする敏感で、恐怖心の強い、臆病な犬に育ちやすいのです。1 回でも、たたいては ダメ。ダメ・コラ・イケナイ は言わないで !  恐かった思い出はいつまでも覚えています。叱らないための工夫をしてください。成長時期にあったレッスンをしていけば、のびのび穏やかに育ちます。咬まない犬に育てましょう。人のやさしさを感じさせてください

【入手後の数日間 】

● 新しい家族との出会い
母犬と別れ、新しい家族との出会です。ハラハラ、ドキドキ、緊張。トイレもまだ覚えていません。好奇心旺盛。順応性あり。新しい生活に慣れるまで、静かに見守ってね。

●食事
数日間は、いままで食べていた食事や、消化のよい離乳食を。胃腸にやさしい気配りを。生活になれてから、幼犬用のフードを与えましょう。

●医療
入手したらすぐに、尿検査・便検査をしましょう。検査容器は事前に病院からもらっておき、子犬を連れて検診です。母親と別れたこと、環境変化、輸送などで免疫力が低下し体調を崩しがち。休息が大切です。病気に罹りやすいので要注意。

◎ 尿検査で尿結石や膀胱炎がみつかることがある。

◎ 便検査で回虫やジアルジアなど腸管の病気がみつかることがある。
母犬と一緒のときは、病気をもっていても、環境がよく症状がでないことがあります。検査をすれば、はやめの手当が可能です。検診で安心。

●健康チェック

目、耳、肛門、皮膚、臍ヘルニアなどをチェック

●日常生活の注意点

数日間はとにかく安静。生活に慣れるまでの間、しつけや運動はひかえ、休息をしっかりとりましょう。生家からの移動でお熱をだす子犬もいます。子犬のペースにあわせること。トイレはなかなか覚えられません。失敗しても叱ってはダメ。時間を見計らってトイレに連れて行きます。たまたまトイレができたときは、やさしく静かにほめてください。夜間は自分のベットの脇に子犬のケージを置き、目の届くところで寝させます。

【生後2か月齢~ 3 か月齢 】

● 社会性を身につける時期

人間社会で暮らすための勉強をする最も大切な時期。詰め込み教育も OK 。家族になじみ何でも吸収。たくさん覚えます。ならすのは、この時期なら簡単。ガンバッテ !

● 実践あるのみ社会化レッスン

とにかく実践。この時期にたくさん勉強すれば、後はとてもスムーズ。病気を心配して、外出せず、家族としか接触しないと、世の中に慣れない問題犬に育ってしまいます。後々とりかえしがつきません。

□トイレトレーニング

□ケージトレーニング ( 就眠はケージかクレートの中で )

□ テレビやラジオの音、電話の音

□首輪、リード ( 引き綱 )

□ 掃除機、ドライヤー、インターホン

□友人、隣人、来客、宅急便、赤ちゃん、老人、他の動物

□首輪、リードにならす

□一緒に歩く練習

□車、電車

□薬の飲み方、口をあける、シャンプー、つめきりの練習

□お泊りの練習

□雷や花火などの CD レッスン

□パピーパーティー

◎トイレトレーニングは個体差があります。あせらないで。6か月齢までには、覚えてね。

朝起きた時、昼食の前、夕方、寝る前など時間をきめてトイレに連れて行きましょう。その他、遊んだ後、水をたくさん飲んだときなど、時間を決めてトイレにつれていってね。

◎毎日一定時間、ケージやクレートの中で、ゆっくりとくつろぐことを習慣づけましょう。

◎テレビやラジオの音、電話の音など生活音にならしてください。

◎掃除機、ドライヤー、インターホンなどにならしてください。

◎友人、隣人、来客、宅急便、赤ちゃんや老人、他の動物など家族以外の人にもならしましょう。

◎首輪、リードなど身につける物にならしましょう。

◎一緒に歩く練習をしましょう。室内で練習し、一緒に歩けるようになったら、庭を歩く。よくできるようになってから、道路や公園を散歩。

◎車や電車にのせましょう。

◎薬の飲み方、口をあける練習、シャンプー、つめきりの練習も忘れずに。

◎自宅以外でのお泊り練習。

◎雨や嵐や雷の CD を聞かせ、少しずつならします。恐がらせないことが大切。 ( 指導者必要 )
◎パピーパーティーなどの社会参加をしましょう。 ( 要指導者必要)

●しつけのレッスン

「かわいい」と、いいながら、やさしくダッコ。やさしくマズルコントロール。アイコンタクト。オスワリ。フセ。

●食事

月齢にあわせた子犬用のフードをたべさせます。開封したドライフードは 2 週間で食べきりましょう。古くなると酸化がすすみ、体によくありません。缶詰は、缶から出して、ラップで包み、冷蔵庫で保管し、できるだけその日に食べきりましょう。健康であれば人の食材を少量チャレンジ。食材は加熱し細かくみじん切り。

レッスン時は、食べ物と一緒にすると効果的。例えば、首輪をはじめてつけるときは、食事と一緒だと安心。食事のたびに首輪をつけると、首輪が大好きになります。

●医療

感染症にかかりやすい時期。再度検尿と検便。乳歯の歯並びチェック。ワクチン接種は元気で食欲があるときに。生後 6 ~ 8 週目頃から可能。 4 か月目頃までに 3 回接種。接種後は安静に。毎週体重をチェック。フィラリア予防薬の投与は、主治医と相談してください。

●健康チェック

乳歯のチェック

●日常生活の注意点

乳歯が生え、むずがゆく何でも咬んで確認します。口に入れたら危険なものは、絶対に側に置かない。電池、ごみ箱、電気コード、子どものおもちゃ、石けん、ボタン、針や糸など。排泄で汚されたら困るものも側に置かない。 PC 、高価な絨毯、高価な置物など。長時間ひとりぼっちにしない。まだお留守番はできません。ひとりぼっちだと、ペットシーツをボリボリにしたり、自分の便をたべてしまうことも ! 食事のテーブルには乗せない。ちゃぶ台やテーブルの上に食べ物を出したままにしない。動く人の手やズボンの裾にじゃれる。スカート、エプロンなどヒラヒラしたものにとびつく。叱ったり、大声を出すと、さらにエスカレートします。

●名前のよび方

名前は、よいことと結びつけてね。「ジョン君かわいい。」「ジョン君おりこう。」「ジョン君ごはんよ。」と楽しいこと、ステキなことと一緒に使ってください

【 生後 3 か月齢~ 4 か月齢 】
行動範囲が広がり本格的に散歩デビュー、家の中では、ちびっ子ギャング。生活に慣れ、活発に動き回り、遊びに誘うようになります。自信も出て、行動範囲が広がります。動くものを追いかけ、子犬同士でもよく遊びます。オモチャをくわえてふりまわし、落とした靴下などを、得意げに、くわえて走り回ります。とても楽しそう。とにかく活発。困ることを何でもしそう。危険と隣り合わせ。目が離せません。

●しつけのレッスン

前月の社会化レッスンを完成させましょう。毎日楽しくレッスンし、無理強いしないこと。さらにマテ、オイデの練習も追加。

ケージトレーニングが完璧なら、夜間は、ケージの外で眠らせましょう。ただし一緒のベットで寝てはいけません。いつものようにダッコしようとすると肩に手をかけ、上ろうとします。これは、悪いダッコです。禁止。

●こんなサインを見逃さないで !

食事している側を通ったとき、食べる速度が急に速くなったり、食事中の食器に触るとウーと唸る子犬は、将来心配。早めに行動学専門の獣医師に相談してね。エプロンやスカートの裾にとびつき離れない子犬も心配。行動学の獣医師に相談しましょう。対応を間違えると、将来、攻撃性が出現。困った行動は、急に起きるのではありません。リードを咬む、肩に上ろうとする、マズルコントロールをいやがる、など見逃してはいけません。不良犬の芽生えです。子犬がとびついたときは、すみやかに後ろに下がってください。毎回下がり、子犬の前足がズボンにさわらないよう行動すれば、とびつかなくなります。

●食事

食事の回数はできたら1日3回。体重が増えていることを確認しましょう。ドライフードも、衛生的に取り扱かわないと悪くなります。袋から手づかみで取りださないでください。食器は毎回、専用のスポンジできれいに洗ってください。また、食べ残したフードを出したままにしないでね ( 置きエサ禁止 ) 。

●医療

生後 4 か月齢までにジステンパー混合ワクチン接種を完了しましょう。ワクチン終了後、約 2 週間経つと、病気にかかりにくくなります。ジステンパー混合ワクチンは、一年後に再接種してください。自治体への登録と狂犬病ワクチンは、生後 3 か月からです。主治医に相談してください。

●健康チェック

乳歯の歯並び。耳の中は清潔ですか ?  メヤニや涙やけは ?

●日常生活の注意点

自立心が芽生え、勝手に行動したがります。後ろからトボトボついてきた散歩も、急に走るようになります。一緒に歩く練習も、引き続き頑張ってください。リードをくわえ、噛み切ったりします。リードをくわえることは、厳禁。後のちコントロールしにくくなります。ギャング化した子犬の身の回りに、危険なものは置かないで。

【生後 4 か月齢~ 6 か月齢】
急に身体が大きくなり、筋肉も強く、速く走れるようになり、飼い主に挑戦する時期。散歩中も、先頭を歩きたがり、欲求があると「ワンワン」吠えて人に号令する。もっともグレ易い時期。精神的には未熟です。いままでのレッスンを復習し、飼い主が主導権をとって乗り切りましょう。

● 飼い主が主導権をとるためのレッスン。
1. 心からやさしく、穏やかに実施してください。

2. マズルコントロール

3. アイコンタクト

4. 犬を抱き上げる

5. オスワリ・フセ・マテ

6. 飼い主が先に食事

7. 犬を勝利者にしない

8. 犬をやさしく仰向けにし、腹部をなでる

9. ドアの出入りは飼い主が優先

10. 一緒のベッドで寝ない

11. 平常心で接する

●しつけのレッスン

アウト&フェッチの練習 ( 咬みつき抑制、この時期に絶対マスターしてね。後では不可 )

アウトは口にくわえたものを放す練習。フェッチはものを口にくわえる練習。

口にくわえたものは、なかなか放さしません。そこで、大好きなオモチャやおいしい食べ物を口元に近づけ交換します。口元が緩み、くわえたものを放したら「アウト」といって交換。無理強いせず、自発性を尊重。大好きなボールやオモチャを転がすと、反射的にくわえます。くわえた瞬間に「フェッチ」と号令。くりかえして、「アウト」と「フェッチ」の意味を教えましょう。ドアや門の前でマテの練習。

●トイレトレーニングは完璧ですか ?

遅くても、生後 6 か月までには覚えてください。尿検査で異常がないのに、トイレを失敗する場合は、犬よりも、むしろ教え方に問題があるかも。

●日常生活の注意点 ( 飼い主が主導権をとるために )

ワンワン吠えて要求したら、逆に「オスワリ」と号令し、オスワリしてから願いをかなえる。このように逆に号令することを「逆転号令」という。ボール遊びにはルールが必要・・・投げたボールを持ってこさせ、必ず受け取る。犬にボールを独占させない。オモチャはたくさん与えず数を制限する。オモチャはだしたままにせず、犬の見ている前で、犬がとれないところへ必ず片付ける。ヒッパリコの禁止。引っ張るオモチャは、おとなしい犬だけのもの。活発な犬には、使用しない。ソファーやイスを独占していたら、オモチャや食べ物で誘導し、やさしく退かしてください。

●食事

食事は1日2~3回。お昼はだんだん少なめに。オヤツは、健康的で安全なものを吟味しましょう。パンやビスケットなど人用のものも OK 。果物もみじん切りにしたり、薄くスライスして試してみても OK です。ただし朝夕の食事が基本です。オヤツが多すぎないようにご注意。

●医療

健康で安定した時期。体重チェック。検尿、検便。

●健康チェック

オス ( 男の子 ) は、こう丸 ( タマタマ ) が降りてきていますか ?

【生後 6 か月齢~ 8 か月齢 】
自分で発見し確認するお年頃、身体が急に大きくなり。生後 6 か月齢ごろが思春期。目新しいものを見たり聞いたりして、不安を感じて吠える年頃。吠えた場合は、側まで連れていき、良く観察させ、確認させ、納得させる。子犬の頃とは違います。納得させるための努力を。風の音や木の葉の舞う音など、はじめて聞く音や体験することに興味をもつ一方不安を感じるようにもなります。自立が不十分だと、ひとりで留守番できず、分離不安になる犬もいます。 (6 か月未満であれば、ひとりで留守番できなくてもしかたありません。しかし 6 か月ごろには、ひとりでも待てるように、精神的に成長してほしいですね。一緒のベッドで寝ていると・・・よくありません。 )

● 生活の注意点

縄張り意識が強くなり、自宅前の道路を通る犬や人を吠えるようになります。宅急便や訪問客にも吠えます。犬が「吠えた」ことによって、人や犬が立ち去ったと勘違いし、日々強化され習慣化してしまいます。

散歩中に出会う嫌いな犬を、吠えるようになります。他の犬の散歩を、社会化期から見聞きさせておけば安心。生後 3 か月ごろに積極的にならしてください。

来客とインターホンを関連づけ、インターホンがなると吠えるようになります。これも社会化期から経験させ練習しておけば、安心。

●交通事故にもご注意

動くものを追いかける習性があります。交通事故にはご注意を。自信があっても公共の場ではリードをしっかり持ちましょう。

●しつけのレッスン

いままでのレッスンの復習に加え、「マテ」を徹底練習してください

●アジリティー

馬術の障害競技を参考に犬用に考案された競技です。人と犬がともに楽しめ、信頼関係を築けるスポーツです。体格がガッチリする、生後 6 か月ごろからはじめるとよいでしょう。

●食事

食事は一日 2 回。胃腸が丈夫なら、いろいろなメーカーの食事に挑戦。小さめの袋を買い、終わってから他のメーカーのものを与えます。各メーカーで栄養的に考慮されているので、同時に二種類のものを与えないでください。

●医療

性成熟をむかえて、オス ( 男の子 ) は、人の足に腕をまわし腰をふったり、雑巾がけをする人に乗ったりします。早めに去勢が大切です。メス ( 女の子 ) は初潮をむかえる。出産の予定がなければ、早めに不妊手術を。乳歯から永久歯にはえかわる時期です。乳歯が抜けずに永久歯が出ることがあり、乳歯と永久歯が 2 列にはえます。このまま放置してはダメ。早めに病院で乳歯を抜歯してもらいましょう。骨格の成長を確認。ゴールデン・レトリーバーなどの大型犬は股関節の検診。

【 生後 8 か月齢~ 10 か月齢 】
身体が急に大きくなり、自信をもって行動します。体力があり、活発なので、十分な運動が必要です。運動後に疲れて眠るくらいが OK 。運動量が少ないと欲求不満になります。

穏やかにすくすくと育っているはずです。いままでの成果が 歴然とする時期です。

体罰や強引な扱いをしていると、いっきに問題が表面化。強く咬む咬傷事件が発生します。隣近所と上手くいっていますか。訪問客に吠えていませんか。散歩中、グイグイ引っ張りませんか ? 困ったことはありませんか。飼い主さんが、ちょっと自信をなくす時期です。
●しつけのレッスン

いままでのレッスンを丁寧に復習してください。オイデ ( 呼び戻し ) の特訓が必要です。

吠えることを「ワン」、吠えるのをやめることを「シッー」と号令で教え理解させましょう。

●食事

食事の回数は1日 2 回。たまには手作りの食事にもチャレンジ。便の状態をよく観察し、無理は禁物。栄養のバランスにも気を配ってください。

●生活の注意点

ソファーを占領したり、飼い主さんのベッドにのります。強く叱ってはダメ。号令で自発的におりるように仕向けてください。

【生後 10 か月齢~ 12 か月齢】
おめでとう。無事に1歳の誕生日です。よく頑張りました。夜間の物音や見知らぬ音にびっくりして吠えるようになります。「シッー」と声をかけ、安心させましょう。1歳になっても、まだまだ未経験のことが沢山あります。精神的に大人になるまで、あと少しです。いままでのレッスンを総復習。

●しつけのレッスン

いままでの総復習。

●生活の注意点

いままで手を抜いていると、悩み事が増殖中。お隣の来客にも吠えたり、宅急便に吠えたりして問題犬。最初のレッスンから、基礎固めが必要。しっかりまじめに取り組んでいれば、ステキな1歳になっている筈。さらに成長が楽しみです。

●信じていたのに・・・

うっかりしたスキに勝手に走りさってしまうことがあります。オイデとよんでも知らんふり。こんな場合、決して追いかけてはいけません。追いかけては、犬のおもうつぼ。もっと楽しいことで犬をおびき寄せましょう。戻ってきたときに、つい、怒ってしまいます。

しかし、怒ってはいけません。帰ってきたのだから、ほめてごほうびをあげましょう。すると、次回はすぐに戻ります。怒ると、ますます戻りにくくしてしまいます。勝手に走るのは、やはり、とても楽しいものなのです。

●食事

一日 2 回、成犬用の食事。

●医療

1歳のお誕生日検診。尿・便・血液検査をもとに生活や食事内容や運動について検討しましょう。コレステロール値や中性脂肪値が高く、肥満の兆しを示していることもあります。

元気いっぱいでも検査は大切。

【季節によって気をつけること 】
1 月 正月太り

2 月寒さによる膀胱炎、尿石症の悪化、心臓病、凍傷、すぎ花粉症による皮膚のかゆみ

3 月花粉症、引越しであわただしく不安定、強い春風で結膜炎

4 月自治体による狂犬病予防注射

5 月フィラリア血液検査、ノミ・ダニのつけ薬

6 月日射病・熱中症、梅雨時の下痢・食中毒、フィラリア予防薬開始、夏毛の準備

7 月皮膚病、外耳炎多発、雷・花火恐怖の対策

8 月暑さで持病が悪化、胆のう炎、膵炎など

9 月草花や雑草の花粉などのアレルギー

10 月冬毛の準備

11 月尿石症再発しやすい、尿検査
12 月クリスマス過食、とりの骨をのみこむ